実家デジタル保存プロジェクトは様々な理由でいつか無くなる実家。その実家を様々な技術を使ってデジタルデータとして保存しておき、復元するプロジェクトです。そしてその過程を公開し、誰でも実施できる状態にすることです。
様々な技術を使って、歴史的な建造物を3Dデータとしてデジタル保存する事例がいくつか報告されています。 これまでに『中銀カプセルタワービル』を3次元スキャンで記録に残すプロジェクトや、旧都城市民会館の3Dデジタルアーカイブプロジェクトなどが報告されています。 解体する必要がある歴史的な建造物を3Dデータとして後世に残すことは非常に価値のあることです。
一方で本プロジェクトが扱う対象は実家という非常に個人的なものになります。しかし、実家がなくなる等本人にとっては、幼少期を過ごしてきた実家がな区なってしまうため、歴史的な建造物以上に思い入れのあるものになります。そこで、本プロジェクトはこの極個人的なものであるものの、誰でもいつかは起こりうる”実家の消失”にに対して、実家をデジタル保存し、復元することを目指します。
公的なプロジェクトであれば各方面の専門家の知見や技術、機材やある程度の予算を使うことができるかと思いますが、本プロジェクトはできる限り、一般の人でも手が届く範囲の機材をを用いて実行することにします。(ドローンや、ドローンを飛ばすための航空局への手続き、360°カメラなど、少々高額ですが、一般の人でも手に入るもの。元に自分が個人で購入できているので。。。も含まれます。)
まずは、実家を3Dデータで保存することを試みました。手段として、様々な方向から撮影した写真から、3Dモデルを生成するフォトグラメトリ技術や機械学習を加えたNeural Radiance Fields、3D Gaussian Splatting、そしてLiDARセンサーを搭載したiPhoneを用いて距離と画像を含めた3Dデータを記録する方法を利用することができます。まずはiPhoneのLiDARセンサーとScaniverseというアプリを用いて、3Dデータとして実家を保存する方法を試しました。
iPhone 12 Pro以降のiPhoneには3Dスキャン(距離と画像を撮影し、3Dデータを保存)ができるLiDARセンサーが搭載されています。LiDARセンサーなんて使ったことがないという人も、ポートレート撮影やARの空間認識などで無意識に使っているので知らないところで使っているかもしれません。
実家の外観の3Dスキャンを行いました。LiDARスキャンにはScaniverseというアプを使用しました。ScaniverseはPokemon GOでお馴染みのNiantec社が提供している3Dスキャンアプリです。 Scaniverseの使い方は割愛しますが、カメラで動画を撮るような感覚で保存対象をぐるっと撮影することで、3Dデータを保存することができます。
LiDARスキャンの撮影範囲はiPhoneから5mと限られているため、家のような建造物をぐるっと撮影しようとしても2階部分を撮影することができませんでした。そこで5mの自撮り棒を使用して、2階部分まで撮影を試みました。その結果、2階も含めて3Dスキャンすることができました。
実家の3DデータはLiDAR搭載iPhoneと超長い自撮り棒と #Scaniverse で撮影しました。動画は3Dスキャン(撮影)様子です。
— 堀洋祐 Yosuke Hori / カサネタリウム (@kasanetarium) August 3, 2024
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