本製作のきっかけは、2019年1月。 脊髄性萎縮症 (SMA)の当時小学生の女の子さほちゃんの困りごと。学校でクラスメイトや先生とジャンケンできなくてちょっと寂しい感があるという話を、お母さんから伺いました。この困りごとを何とか解決できないだろうかと、ご縁あって出会った分身ロボット研究者 吉藤オリィさんと、さほちゃん&お母さんと4人で一緒に製作を行いました。
https://twitter.com/origamicat/status/1081860054263853057
2018年末から取組みを始め、実際の使用者(小学生の女の子)のおうちに集まって一日で原理プロトを作ったり、その原理プロトを実際に学校で使って貰ってフィードバックを貰ったり、それを元に試作機を改良したり、を繰り返してました。 試作機も改良を重ね、実使用観点で必要な改善も行い続けて、ようやく実用的に使えそうなところまできました
https://twitter.com/ogimotoki/status/1106896579275841536
最初はじゃんけんという機能を搭載するだけなら簡単にできるだろうと想像していたのですが、いざ作って&使って貰うと多くの課題に直面しました。
・じゃんけんタイミングを合わせるための音声発話機能搭載
・車椅子に取り付けやすい様にカメラネジ搭載
などはすべて、この取組の過程で生まれました。使い手(ユーザー)と作り手(メイカー)が一緒になってモノづくりする面白さを実感出来た取り組みでした!
「じゃんけんロボハンド」を開発してから1年。複数の方にもモニター使用頂いた感触で得られた事。それは、
じゃんけんはコミュニケーションだ
という事。実際に、じゃんけんロボハンドを使う事で、その周りに友達が集まってきて、そこから交流のきっかけが生まれるという事例が生まれました。
じゃんけんを終わるタイミングも自分で使える様に「バイバイ」なども操作できる様にしたら大変好評でした。
ロボットハンドという珍しさもあって、子供達を引き寄せて、本来やりたかった
「友達とじゃんけんをする機会を強制的に作ってしまえる」 そんなツールになるのだなぁ
そんな経験を重ねていた中、我が家では大きな出来事、息子が地域小学校の通常学級に就学する事になりました。
コロナ禍により入学式も2か月遅れで、6月からついに新一年生として地域小学校に入学する事になりました。
そんな中で課題となるのが、
「クラスの友達とのコミュニケーション」」
肢体不自由児の受け入れが初めてだった事もあり、先生方も慎重に見て頂いているのですが、どうしても息子の回りには大人が集まってしまい、クラスの子達との距離が空いてしまっていました。
地域小学校へ就学する理由の一つ、たくさんの子供達との自主的&自然に生まれるコミュニケーションを通して、大勢の人の中で生きていく経験を増やしていく事と思ってました。
なので、友達との交流をする最初のきっかけとして、コミュニケーションの基本「挨拶」を息子自身の意思でできる様になって欲しい
クラスの子供達と打ち解けるきっかけを何かモノづくりでサポートできないかを考えた時、
ふと「じゃんけんロボハンド」での経験が頭によぎりました。
改めて「あいさつ」機能を追加搭載、実際に息子の車椅子に取り付ける形で、言葉通り毎日学校で使う事になりました。
https://twitter.com/ogimotoki/status/1275385935702552576
学校初登校1週間目で課題に気づき、そこから製作を始め、その翌週1週間一通り仕上げる事ができました。
そもそも小学校で使わせて貰えるか不安でしたが、担任の先生や校長先生に現物を見せると
「これはいい! 是非とも毎日使っていきましょう!」
とノリノリであっさり導入が決まり(笑) 、それから毎日必ず学校の中で使う様になりました。
これが、息子やクラスの友達にとても良い効果を生み出してきている様です!
じゃんけんロボハンドでの知見でも感じた通り、とにかく使用初日から子供達に大人気!
休み時間になったら、息子の周りに子供達が集まりだして、
「これ、何?」
「おはようやってみて」
「じゃんけんしようー!」
と友達から積極的に話しかけてくれ、自然と友達の輪そして交流が生まれていったとの事です。
まさに
『会話トリガー装置』&『潤滑油』
https://twitter.com/ogimotoki/status/1681129160658362369
現在(2023/12)時点で小学校4年生となった息子。 言葉通り、小学校生活の必需品となっていて、すっかり息子の一部になっています。 毎日の生活で活用し続けてた事で、いろんな変化が見えてきました。
・小学校登校時 : ノールックでアイサツ操作ができる様に(笑) https://twitter.com/ogimotoki/status/1575411206726504448
・USJへ遊びにいった際:スーパーニンテンドーワールドでマリオコインを押して一緒に楽しむ https://twitter.com/ogimotoki/status/1608655361598259200
・じゃんけんジェンカで使ってみたら優勝した! https://x.com/ogimotoki/status/1802316387328925980
そんな体験を重ねていくうちに、 様々な日常シーンで「おはよう」「ありがとう」「ばいばい」等、タイミングよく使い分けれる様になりました。
https://twitter.com/ogimotoki/status/1680762996950446080
また、その開発の様子を、日本テレビ「真相放送バンキシャ!」(2024/2/11放送) で取り上げてくださいました。
https://youtu.be/PuGFiE-9u2E?si=DJzkrKipOFv8MzG8&t=849
[小学校で友達と遊んでいる様子] https://www.youtube.com/shorts/W5tRBDhkGFY
大事な事は、この「とものて」を通す事で、本人の意思を分かりやすく周りに伝えられる事
「物理的に動く」は、分かりやすい自己表現だ
肢体不自由児だから難しい物理表現は、モノづくりで技術でサポートしてあげる
これが「とものて」の価値だなぁ、と強く感じています
じゃんけんやあいさつが「できる」事を周りに分かりやすく伝えて、ともだちと繋がるきっかけをつくる
あいさつハンド「とものて」
1人のためきっかけで作り始めたものですが、同じ様に表現が苦手な子供達にも役に立つモノになるんじゃないかと感じていて、必要な方に提供する活動も進めてきました。
ハンドメイド品質(3Dプリンタ筐体)ではありますが、 量産製作はできる状態になりましたので、お声がけあれば製作提供させて頂いております。
https://twitter.com/ogimotoki/status/1588001976184639488
https://twitter.com/ogimotoki/status/1682680349208481792
特に私達と同じ障害を持った子供のご家族・支援者の方から「是非使ってみたい」とお声がけ頂き、 2023年12月時点では20台以上も製作提供させて頂きました。 (その中で、特にコントローラ部分や追加アクション等の要望を頂き、本装置もそれに合わせて成長してきました)
使ってみたい、作って欲しいという方は 別途コメント/DM等を貰ったら別途調整させて頂きます!
1人の「じゃんけんできない」困りごとから生まれたコミュニケーションロボハンド そこから「我が子」→「必要な人達」に繋がり育てて頂いた『とものて』
必要としてくれる人の「できる」事を広げるために 少しでもお役立ちできれば嬉しいな、と思います!
「しゃべれない子供に、周りの友達とじゃんけんやあいさつ等のコミュニケーションを取るきっかけを作りたい!」
という想いで製作したコミュニケーション専用ロボットハンド。
3軸稼働のみのロボットハンド。
操作コントローラからのボタン押しの単純操作で、
・じゃんけん
・かんたんなアイサツ、リアクション
を「可愛い声」&「可愛いハンドジェスチャー」で行う事ができます!
小学校などの日常生活で使える様に、コンパクト&頑丈に設計しています
・ 電源を入れて5秒以内ですぐに使えるので、子供達との会話の中で突然訪れる「あいさつ」「じゃんけん」イベントにも即対応が可能。
・コンパクトなサイズで裏面にカメラネジ穴があり、車椅子などに簡単に取り付け固定が可能
・操作用スイッチは様々なバリエーションを用意
① 1スイッチ操作(福祉用ジャック対応) : 単押し、長押しでアクション選択可能
② 専用コントローラも複数のバリエーションを用意。ゲームコントローラの様な小さいボタンタイプや、手の甲で押す大きなボタンタイプ、福祉スイッチ対応したコントローラもあり、その子の操作しやすいスイッチで操作もできる
・ 40種類以上の多様なアクションからカスタマイズ選択可。
また、コントーラユニットを取り換える事でシーン毎に応じた様々なアクションを使い分けれる
https://twitter.com/ogimotoki/status/1564896069586001920
成長の段階に応じて、使用するコントローラも進化。 4つのボタンの役割をスクロールで変更できる機能を付けて、32種類から選ぶ形のコントローラも導入中
https://x.com/ogimotoki/status/1745043847087075556
多くの障害当事者へ提供していく中で、いろんな症例のある方に合わせて操作コントローラの自由度を高めています。福祉業界では有名な視線入力訓練ソフトである ■重度障害児支援システム「EyeMoT」■ (島根大学 伊藤先生 及び 重度障害者支援チームによる開発) とのコラボ。
「とものて」を「EyeMoTアプリ」を使って視線操作できます!
https://x.com/ogimotoki/status/1783107961793221054
スイッチを押す事も難しい方も視線操作を使う事で、 周囲の方と可愛いジェスチャーでコミュニケーションしたり、じゃんけんなどを楽しんだりできます。