底面のスイッチを入れると機構の回転の音が心地よく響き、本体の丸い窓に映像が映し出されます。 ゼネバ機構によって間欠回転するフィルムを通った光はビー玉のレンズでスクリーン上に結像されます。 フィルムには一周8コマの絵が印刷されていて、付け替えると色々なアニメーションを楽しめます。
初期のスライド映写機であった幻灯機にフェナキストスコープのようなアニメーション機能を組み込んで手のひらサイズにまとめました。 本体フレームは3Dプリンタで出力し、台座の部分に電池やスイッチなどの配線が組み込まれています。 ゼネバドライブの動くカタカタという心地よい音、ビー玉レンズによって映し出される柔らかな映像を楽しんで頂きたいです。
フレームは最低限の極力シンプルな構造を目指しました。モーターやLEDの配線はエナメル線を用い、デザインの一部として成り立つようにしています。電池ボックスからの配線は出し入れの曲げ伸ばし頻度やテンションがかかることも考慮して通常の被覆線を使用していますが、内部のストレスのかからない配線は細いエナメル線を使用して空間を節約しています。
ガラス瓶は100円ショップの調味料入れを使用しています。もともとフタに付いていたパッキンは乳白色のものでしたが、色調を統一するために黒いゴムで同一サイズのパッキンを作り取り替えています。 スクリーンとしている丸窓は黒いパイプ状の部品がガラスに刺さっているように見えますが、実は内外からガラス面に沿った形状の部品を取り付けることにより、錯覚で刺さっているように見せています。
LEDから出た光がフィルムを通り、ビー玉レンズでスクリーン上に焦点を合わせて投影します。プロジェクターのように壁に投影するのではなく、本体のガラス面にある小さな窓に投影しています。
この構成にするため約4cmの距離の中に光源とフィルム・レンズ・スクリーンを収めています。光源は点光源ではなく、面光源とみなせるくらいの大きめのLEDを使用して距離を詰めることに成功しました。
このような映像の投影方法は初代と変更ありませんが、スクリーンの材質を変更してよりよい透け感を出しています。
今回開発しているver1.5では内部構成を大幅に再設計しています。
フレーム部(黒い部品すべて)は完全に設計し直しました。
配線方法を見直し、より作りやすく壊れにくくなりました。先代は内部にドライバーで調整する可変抵抗が入っており、電流を調整していました。スイッチはリミットスイッチをカムで押す構造でした。今回はスイッチ付きの可変抵抗器を使うことによりよりシンプルな構造でモーターの速度をコントロールできるようにしました。
回転速度を落とせばゼネバドライブの動きをじっくり堪能できます。
スイッチ付き可変抵抗はなかなかこのフレーム内に収まるものがなく、黒い土台とその下の木の蓋をあわせた厚みを最大限利用してなんとか収めています。
電池ボックスの収納スペースにも蓋が付き、360度どの角度から見てもスッキリとまとまりました。蓋をあけるのには工具が不要で、ラッチ機構によりフタの位置を保持しています。スライドして出てくる電池ボックスとの干渉を避けるための空間のやりくりに気を使いました。
ゼネバドライブ部のフレームをスッキリさせることにより、回転しているフィルム側からも機構が見やすくなりました。間欠運動をしている機構の動きをより楽しめます。